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伝染性紅斑(りんご病、リンゴほっぺ病)についてのまとめ [感染症]




「伝染性紅斑とは」について、まとめたいと思います。

以下は僕が別サイトに記載していたものです。

しかし、このブログには携帯でアクセスされる方も多く、ブログの方が見やすい方も多いと思うので、こちらにも転載しておきます。

なお、記載内容につきましては一切責任を負えませんので、あくまで参考情報にとどめ、医師等専門家の指示に従ってください。

では、以下にまとめます。


(1)特徴
基本的に症状は軽く、ほとんどの場合、自然に治ることが多いようです。

子供に多く、ほっぺがリンゴのように赤くなります。

ほっぺが赤くなる前に風邪のような症状があり、主にこの時に感染します。そのため、頬が赤くなり周囲が気がついたときには、すでに症状もおさまっていて、感染する時期も過ぎてしまっていることが多いようです。

ただし、先天性の溶血性貧血症の方や妊婦さんは注意が必要な病気です。


(2)原因
パルボウイルスB19の感染によって起こります。

春から初夏にかけて患者数が増加します。

0歳(特に生後6カ月以降)から発生は見られます。かかりやすい年齢は小学校の低学年ですが、時折幼稚園や中学校でも集団発生が見られます。少ないですが20歳以上の発生報告もあります。

少し古いデータですが、感染症発生動向調査によると、1987年、1992年、1997年、2001年とほぼ5年ごとの流行傾向がみられています。年によって若干の違いはあるものの、年始から7月上旬頃にかけて症例数が増加し、9月頃が最も少なくなるようです。しかし流行が小さい年には、はっきりした季節性がみられないこともあります。例えば2010年から2011年にかけて、一部地域では冬場(12月~2月)に患者数が増加していた、ということがありました。


(3)感染
通常、ウイルスに感染してから紅斑がでるまでの期間は4~20日程度です。

感染は、飛沫感染か接触感染により起こります。感染した人の分泌物(鼻水、唾液、痰)などからうつります。

分泌物との直接の接触によって人から人へと広がります。例えば、感染した人の咳からの飛沫を吸い込んだり、感染した人と同じカップで飲んだり、感染した人と同じタオルや食器を使って手指にウイルスが付着し、それを自分の口や鼻の粘膜に運ぶことにより感染します。このように手によってウイルスを運んでしまう場合もあるので、よく手を洗うことは伝染性紅斑の予防のために有効です。

家庭では、感染した人と接触した人の約50%が感染します。学校での流行では、感染した人とおなじクラスの10~60%の生徒が感染します。

いっぽう、流行中にパルボウイルスB19に感染しても症状を示さない不顕性感染が、小児では10~20%、成人では60%あるとされています。また、感染しても典型的な症状を示さずカゼのような症状だけの人もいます。しかし、症状の有無にかかわらず、感染すれば、ちゃんとした免疫が獲得されます。

周囲への感染性があるのは、感染後7~10日(発疹がでる1週間くらい前)の軽い風邪に似た症状がみられるころで、発疹が出始めた頃にはほとんど感染力はありません。発疹が目立たなくなれば通園・登校してもよいと思われます。


(4)潜伏期間
ウイルス感染後4~20日を経て、赤い発疹(紅斑)が出ます。

伝染性紅斑.png


(5)症状
潜伏期間を経て、両方の頬に、境界のはっきりした少し盛り上がった紅斑がみられます。りんごのように真っ赤になり、鼻を中心として蝶が羽を広げたようであり、ほてりやかゆみを伴います。

1~2日たつと腕の外側や太ももの前面にも、レース状・網目状をした、やや隆起した発疹が現れます。腕の露出した部分で一番強く出て、手のひらや足の裏には、ほとんど出ません。発疹がかゆい場合もあります。これが胸、おなか、背中、お尻に出ることもあります。成人の場合は、特徴的な頬の紅斑がでないことも多く、風疹と間違われることがあります。
通常は1週間前後で発疹は消えますが、中には長く続いたりする人もいます。

また10~30%の人では、発疹が消えた後でも、摩擦、入浴、日光にあたる、発熱や精神的ストレスなどの刺激によって、再び出てくる場合もあります。

また、発疹の出る7~10日前に微熱や鼻水などの軽い風邪のような症状がみられることがあります。この時期がウイルスの排泄量がもっとも多くなります。

成人の場合は発疹に加えて手や腕、膝関節の痛み(関節痛)、頭痛などがでる場合があります。関節炎症状により1~2日歩行困難になることもあります(関節の腫れ・痛みは、通常1、2週間でおさまりますが、数ヶ月続く場合もあります)。

ほとんどの場合は合併症をおこすことなく自然に回復するようです。

ただし、妊婦さんや慢性貧血症、免疫に問題のある人(ガンや臓器移植を受けた人)は注意が必要です。

先天性の溶血性貧血症のある人がかかると、重症の貧血発作を起こすことがあります。

パルボウイルスB19による感染は、鎌状赤血球症あるいはこれと近似のタイプの慢性貧血症の人たちでは、急性の重い貧血を起こす場合があります。このような患者では、典型的な発疹が見られない場合が多く、患者は青ざめ息切れが強くなるので、早急に主治医の治療を受ける必要があります。

免疫システムに問題がある人たちでは、パルボウイルスB19の感染により、治療が必要な慢性の貧血となる場合もあります。白血病あるいは癌がある人、先天性免疫不全の人、臓器移植を受けた人、HIV感染症の人などは、パルボウイルスB19の感染により、深刻な合併症に陥る可能性があります。

伝染性紅斑は、健康な妊娠・出産のために注意したい感染症の一つです。妊婦が感染すると、風疹と同様に胎盤を通過して胎児に感染し、胎児水腫(水ぶくれの状態)、胎児貧血、胎児死亡、流・早産を起こすことがあります。
以上の方々は、身近に伝染性紅斑の患者が出た場合、主治医に相談してみてください。


(6)治療法
通常、安静、保温、栄養などに配慮することは基本的に大切ですが、特別な治療法はなく、発疹に対してもとくに薬を使うことはありません。多くは治療をしなくても自然に治ります。


(7)予防
現在のところワクチン(予防接種)はありません。

予防法としては、よく手を洗うことが一番です。

妊婦等注意を要する人は、流行時期に感冒様症状の者に近づくことを避け、万一感染した場合には、胎児の状態を注意深く観察する必要があります。

患者が診断される頃には感染力は亡くなっているので、周囲で流行していると気づいてからだと遅い可能性があります。日頃からの手洗いという習慣が身についている必要があります。


(8)感想
この記事を作成している中、我が家にも妊婦がいます。
住んでいる地域で、冬だというのに年末から伝染性紅斑が流行しはじめ、警戒していました。
(注:2010年12月前後の話)

調べてみると、妊娠感染では妊娠前半期の感染の方が危険であるとされているのですが、しかし後半期でも感染するという報告があり、完全に安全な時期というものを特定することはできなさそうです。

さらに必ずしも感染が胎児への異常に結び付く、というわけでもないようで、感染した新生児でも妊娠分娩、出生ごの発育も正常であることも多いようです。

とはいえ、ある程度のリスクがある以上は気をつけたいところ。

しかし、警戒するにしても、注意するのが難しい感染症です。

特に小さな子供が周囲にいる場合、感染しないように気をつけると言っても一苦労です。
子育て中なら、子供を遠ざけるわけにもいかないですしね。

ただ、子供が風邪を引いていそうな場合は、周囲の人にも協力してもらうなどしてできるだけ予防に徹しましょう。

妊婦さんの場合は、風邪気味の人(特に子供)に近寄らないこと、流行中は幼稚園・学校など子供の多い場所は気をつけること、手をよく洗う事、などで気をつけたいところです。

さて、冒頭でも書きましたが、僕は医師ではなく、いうまでもなく本情報は参考程度にとどめ、しかるべき医師の指導に従ってください。

【参考】

・「病気と症状がわかる事典」日本文芸社

・「新赤本 第六版 家庭の医学」保健同人社

・さいたま市感染症情報センター

横浜市衛生研究所

・国立感染症研究所


間違いの指摘等ございましたら、本記事のみにコメント欄をつけるので、そちらまでお願いします。
※個別のご質問にはお答えしかねますのでご了承ください。


タグ:伝染性紅斑
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