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メンタルヘルス問題を考える④60代と70代以降 [メンタルヘルス]




今回は60代と70代以降について見てみよう。


まずは60代。

60代の自殺原因・動機.png

50代では経済・生活問題を苦としたものが一番多かったが、ここでは再び健康問題が1位に浮上する。

特に女性の比率が高く、女性だけで1200名近い自殺者がいる。

健康問題が突出して高いが、経済・生活問題も、人数で見れば変わらず高水準である。
これが、70代以降になると経済生活問題が極端に減少する。

70代以降の自殺原因・動機.png


家庭問題やその他、原因・動機不特定からも逆転され、経済・生活問題は原因の順位が5番目に後退する。

目を見張るのは健康問題の圧倒的な多さだ。10代、20代と同様に、ここでは女性の比率が高まっている。

かつて病院がサロン代わりに使われているといった批判があった。
もちろん不必要な受診はすべきではないが、その問題とは別に、
必要な人への医療アクセスの改善が必要だと思う。


なお、このブログで掲載したグラフの見方については少し注意してもらいたい。
例えば、今回のグラフでは60代以降をまとめてしまっているので、他の世代との単純比較はできない。“圧倒的に多い”などと書いていても、“その年代の中では”という前提がつくのを忘れないでほしい。これは他の年代についても同様である。

全体的な自殺者数を見れば、やはり中高年が人数的には圧倒的に多いのだ。

(再掲)
男女の自殺者数.png


またいっぽうで、人数が多い、という点にも注意が必要かもしれない。

例えば、この自殺者数のグラフを見ると中高年の人数が圧倒的に多いが、それはそもそも中高年の人口が多いという理由も考えられる。団塊の世代だ。
昨年ベストセラーになった「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)(←アマゾンへのリンク)」では、人口の変動(生産年齢の人数)がデフレ・景気の悪化を引き起こしていると指摘している。
基本的に中高年層には“自殺に至る要素”が多いというのは変わらないと思うので、基本的な傾向は変わらないと思うが、その傾斜の角度は見方によって変わるかもしれない。


それにしても、この人口の変動=高齢者の増大が、今後の健康・医療(費)問題に大きな影響を与えることは容易に想像できる問題だ。



さて、以上、警察庁の統計資料をもとに年代ごとに見てきたが、統計には現れない様々な問題があると思う。


最終的な自殺の原因が仮に「健康問題」だったとしても、自殺に至るまでに複数のストレスを受けている可能性もある。

はたして、どのような事柄が、ストレスのもとになるのだろうか?


次回はストレスの原因について考えてみたい。


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