自前のメンタルヘルス対策の罠 [メンタルヘルス]
少し前、某飲食チェーン店にて、過労自殺が認定された。
経営者は大変有名な人で、テレビやら本やら、あるいは選挙やらにも出ている。
この会社では、上司(?)による定期的なカウンセリング(???)を行うなどで対応策(?????????)をとっていたという、意味不明なコメントが出されているらしい。
多くの、とくに中小企業では、メンタルヘルスに関する問題はこの程度の認識が多い。
僕も、何人かの中小企業の経営者とこの手(メンタルヘルス問題)のお話していますが、
「精神的に今の若い子は弱いんだよね!打たれ弱い!!」
「大変なのはみんな一緒。働けるだけ有難いと思わないとねぇ」
「過労?安全配慮?損害賠償??ははっ、うちは大丈夫。だって、中小企業はそんな事いっていたら、つぶれるもの」
などという、やはり意味不明・浅薄な認識が多い。
また、最近では貢献活動、ボランティアと称して、社員達の貴重な休日を、強制ボランティアに当てることもあるという。
ボランティアというと自発的な行動に見えるが、会社という“組織”が介在することで、本来の意味は激変する。
ある会社では自主参加だが無言の同調圧力によって、また別の会社では、ズバリ強制参加で、ボランティアに加わる例もあるようだ。
体験としては、きっと素晴らしいものを得られると思うのだけれど、問題なのは、日ごろが激務な企業の場合である。
分かり合うというのは大変難しい。
以前、メンタルヘルス対策に力を入れている、某大手企業の責任者とお話する機会があった。ポジションもそれなりの方で、その手の人にしては珍しく、メンタルヘルス対策に積極的だった。
しかし、持論がとても強く、多くの対策をその方が考え、判断し、導入・実施している。ほとんど独断だった。
それがうまく機能する場合はいい。しかし、歯車が狂ったり、ズレが生じたりしたとたん、うまくいかなくなる。
先述の飲食チェーン経営者も、きっと同様であったのではないか。自社の上司によるカウンセリングや、夢を日記に書いてとにかく「できません」という言葉をなくせば解決すると考えていたのかもしれない。
メンタルヘルス対策は、外部目線を入れながら導入・検討するべきだと思う。
素晴らしい仕組みを考えた場合でも、絶対に自社完結だけはしないほうがいい。
職場のメンタルヘルス実践ガイド―不調のサインの見極め方診断書の読み方から職場復帰のステップまで
- 作者: 佐藤 隆
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2011/01/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
人事・総務担当者のためのメンタルヘルス読本 (ISL Paperbacks)
- 作者: 鈴木 安名
- 出版社/メーカー: 労働科学研究所出版部
- 発売日: 2006/11
- メディア: 新書
もちろん、外部任せではいけないのは当然です。
2012-05-25 18:56