9.共済組合と国民健康保険 [公的保険]
これまで何度かに分けて、公的医療保険について書いてきました。
※0.予告 最強の保険
※1.公的医療保険とは?
※2.保険者の役割
※3.保険者が保健事業を行う理由
※4.増え続ける医療費、将来はどうなる?
※5.医療保険者の全体像
※6.健康保険とは①
※7.健康保険とは②単一健保と総合健保
※8.健康保険とは③協会けんぽ(&船員保険)
前回は職域保険のうち、
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)についてご紹介しました。
協会けんぽの健康保険には、
組合健保に加入していない民間の会社が加入します。
また、それとは別に、協会けんぽは協会本部に
船員保険部をもうけ、船員保険制度も運営しています。
もちろん、健康保険と船員保険は経理を別にしています。
さて、民間会社に勤めていない人たち、公務員や私学の先生、
郵政の職員さんたちは、共済組合に加入します。
各種共済組合はあわせて加入者は約900万人います。
・国家公務員共済(衆議院共済組合、厚生労働省共済組合、日本郵政共済組合など)
・地方公務員共済(地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合など)
・私立学校職員共済
共済組合は、健康保険のようなものだとお考えください。
各共済組合組織がそれぞれの根拠法により
法人格をもって健康保険のような給付などをおこなっています。
(例えば国家公務員共済は国家公務員共済組合法)
以上が職域を対象とした保険者です。
職域、つまり入った会社によって加入する医療保険。
自分だけ会社の同僚とは違う健保に入る!
ということは、基本的にはできません。
次に、地域によって加入する医療保険を見てみます。
主に自営業者や無職の方が入る保険です。
・国民健康保険制度
自営業の方や、一部の退職者の方が加入します。およそ4000万人の加入者がいます。
国民健康保険には、大きく分けて2つの種類があります。
①国民健康保険(市町村国保)
市町村と東京23区の各区が運営しています。
個人事業主など会社ではない自営業者の方や、
無職の方が加入されます。
必然的に、現役労働世代ではない方や、
収入が不安定な加入者が多くなり運営を苦しくしています。
約3600万人の加入者がいます。
②国民健康保険組合(国保組合)
自営業の同業者が集まって設立されています。
総合健保と似ていますが、総合健保は企業、
こちらは自営業者ということになります。
同業であること、さらに国保組合が定める地区内に住所を有している人、
とうのが対象になります。
この場合の地域とは、働いている場所ではなく住んでいる地域になります。
例えば、地区内で営業をしていても、
居住する場所が地区外であれば組合員になれません。
イメージ的には、地域+職域。
制度的には地域が強く、
集団の特性としては職域性がある、という感じでしょうか。
165の組合があり、今後は新しい組合は増やさないようです。
加入者は約350万人います。
国保組合には、例えば建設国保(建設工事業の従事者)、
文美国保(文芸・美術・著作活動従事者)などがあります。
国保組合のなかには、非常に手厚い組合がある、
という印象があります。
いよいよ最後に、次回、後期高齢者医療制度を見てみたいと思います。
2011-02-16 11:20
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