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間引きの世界 [今日のシグナル]




昨日(2013/2/27)、「マツコ&有吉の怒り新党」というテレビ番組を見ました。この番組は、マツコ・デラックスさんと有吉弘行さんが政党を立ち上げた設定のトークバラエティです。ちなみに夏目三久さんも出ていますが、彼女は秘書という設定。

この番組のコーナーの中で、「新・3大〇〇調査会」というのがあります。一般に知られていないが日本人が知っておくべき3大括りがあるというもので、昨日のテーマは「藤子・F・不二雄らしからぬ異色な物語」ということで、ドラえもんなど子供向けマンガで有名な藤子F先生が大人向けに書いた異色のSF小説が紹介されていました。

ほんわかしたドラえもんのイメージと異なり、社会への強いメッセージ性とダークな作風、ハッピーエンドではないエンディング。藤子F先生のマンガはドラえもんなどの代表作から知らない私にとって、結構驚きのお話でした。

今回取り上げられた短編作品の中に、印象深い話がありました。
間引き」という作品です。
あらすじは次のとおり。
「世界的な人口増大による食糧不足が起こり、日本ではついに配給制度が復活した。主人公はそんな時代を生きるコインロッカーの管理人であった。近頃は子供をコインロッカーに捨てる親が増え、主人公は死体を見るのもなれっこになっていた。そんな時に新聞社より記者が訪れる。彼は人殺しが起こるのは人類の間引きではないかというひとつの仮説を立てた。」

これが書かれたのは1970年代なのですが、面白いのは“急激な人口増大”の結果、世界がついに40億人に達した・・・というところ。

40億人ですよ。

今の人口はというと、2011年に70億人に達したと言われています。このマンガの設定の、1.75倍です。

「間引き」の中では人口が増えすぎたため、人々は食糧不足に苦しめられます。
では、マンガの設定より1.75倍も多い現在、世界の食料事情はどうなのか。


昔想像されていた以上に、世界は生産性を高めています。
食糧資源戦争だとか、飢饉だとかが話題になることがありますが、それでも生産性の問題で言えば、まだまだ大丈夫だという意見も目立ちます。


しかし、最近気になるニュースをチラホラと見かけるようになりました。

例えば昨年。
アメリカでは約60年ぶりの大干ばつとなり、世界食糧危機は目前まで迫ったのではないかと心配されました。

また、つい最近の話ですが、メキシコで鳥インフルエンザが発生。210万羽(120万羽との説もある)の鶏が殺処分され、まだまだ被害が拡大しそうなのですが、これによって食糧価格の高騰を懸念する声が出始めています。「処分されたニワトリは全体から見ればごく一部にすぎない」と当局は説明していますが、簡単に不安が拭えない背景には、食糧の不足や高騰に対する不安感が下地にあるのではないでしょうか。

また、10年後には人口が世界で首位になるのではないか、と言われるインドですが、ここでも「老人の置き去り」という深刻な問題が発生しています。
今年は12年に1度のヒンズー教の大祭「マハ・クンブメーラ」の開催年で、インド北部のイラーハーバードに約8000万人の巡礼者が集まると予想されています。
この巡礼の際に、人ごみを利用して、高齢の親族を置き去りにする事例が相次いでいるのです。
高齢者の多くは故郷を離れたこともなく、教育も不十分であったため、自力で帰ることは困難です。
・老人の置き去り多発、インドの宗教大祭

まるで「姥捨て山」です。

藤子・F・不二雄先生の描いた「間引き」の世界。
今の日本の私たちにとっては信じられない設定ですが、案外とギリギリの不安定なラインに、私たちは辛うじて立っているだけなのかもしれません。


今もし平和を感じているのだとしたら、思いのほか不安定で脆いものなのかもしれません。

「衣食足りて礼節を知る」

この尊い平和を守り、広げ、より良い世界にしていきたいものですね。


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