「危ないから動くな」は正しいのか? [犯罪・事故・防犯]
事故からかなりの日数が経過し、心配されている韓国の旅客船沈没事故ですが、事故発生当初、船内でのアナウンスでは「動かないように」という指示が出されていたといいます。
危機発生時にはパニックを恐れ、このような指示が出されることが多い。
日本でも、震災時の原発事故の際には似たような現象が見られました。パニックになることを恐れた専門家、マスコミなどが情報を出さないように動いた、という事が起こっていました。
思うのですが、パニックにならないように落ち着くことと、情報を与えず安全だからと言って動かないようにすることは、まったく別物だと思われます。
確かに、パニックが発生して統制が効かなくなり、無秩序状態になってしまうのが一番怖い。
しかし、パニックになることによって発生する被害だけでなく、逃げ遅れたり逃げなかったりすることによる被害も割と多いのです。
生き残る判断 生き残れない行動
「生き残る判断~」という本では、人間は危機に出くわした時、動きがにぶくなるという現象が紹介されています。行動、動きが緩慢になるのです。人間がまだ肉食動物に襲われていた時代の本能がそうさせるのかもしれません。命を奪われかねない脅威の存在に直面したとき、下手に動くと命に関わります。肉食獣と対面したとき、飛び出したり逃げ出したりすれば襲われかねません。じっと息を潜めてやり過ごす事が有効である場合も多かったでしょう。
しかし、現代は違います。
事故や災害に直面したとき、いかに迅速に行動できるかは非常に重要です。もっとも、パニックになってはいけませんが・・・。
それにしても、こういう事故があると毎回思うのですが、やっぱり危機に対する心構えって重要だな~と思うわけです。
面倒かもしれませんが、旅客船に乗る際には事故の際の行動をまず確認する、というのは必要です。
飛行機に乗るときも、出発前に救命着や酸素マスクの使い方を説明されますよね?私も含めほとんどの人がスルーしていると思いますが、やっぱりしっかり聞いておかないといけないといけないなと反省します。ワガママを言えば、もう少し興味を持ってもらうように臨場感あふれる説明してくれてもいいかもしれません。
あの船の乗客たちは、救命胴衣やボート、出口の場所などを知っていたのでしょうか?
学校などでの火災訓練がそうであるように、予防や訓練というのは、次第に骨抜きになっていきます。渓流川下りの事故は数年毎に起きていますが、そういった事故が起きた直後は、救命胴衣は小さな子どもであってもちゃんと装着させるよう指示が出されます。
昨年、とある渓流川下りに参加したのですが、乗船した中に2~3歳くらいの小さな子どものいる親子がいました。小さな子どもを乗せていいのか、という議論は置いておきましょう。
この船には、このような小さな子ども用の救命着も用意されています。
しかし、船頭さんはその親子に対し、
「子どもが泣いてぐずるようでしたら、ちゃんと着せなくてもいいですよ、できれば羽織っておいてください」
と説明してるではないですか。
万が一の事故があったらどうするのか。
きっと泣いてぐずる子どもが多いのでしょう。
そうすると、せっかくの観光、川下りが子供の鳴き声で台無しにされてしまう。そう考えたのかもしれません。
しかし、いざ事故が起こった場合を考えると、事の重さが比較になりません。
胴衣を着せて泣いてしまうようなら遠慮してもらうとか、子どもが泣かないように胴衣にキャラクターをくっつけるとか、他に選ぶべき方法、あるいは考えるべきアイデアはあると思うのですが・・・。
ともあれ、このような不幸な事故は出来る限り減らしていきたいものですね。
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タグ:事故
2014-04-21 16:15